「お兄さん、今日はどうしたの?」
灰原優歌は、久保時渡が何か様子がおかしいと感じていた。
「何でもない、ちょっと考え事をしているだけだ」
久保時渡は軽く灰原優歌を見つめた。
少女の好意というのは、まるで突風のように、吹き過ぎれば消えてしまうものだ。
昨夜こっそりとキスをしたのに、今日は千田郁夫の優しさに心を奪われている。
「そうなんだ」
灰原優歌は理解を示してうなずいた。ちょうどその時、誰かからメッセージが届いた。
ちらりと見ると、以前の戸田霄が国際音楽協会のことについて尋ねてきていた。
灰原優歌は即座に返信した。
【いいよ】
その瞬間。
市の中心部のホテルで待機していた戸田霄の目が輝いた!
この雲城への訪問は、本当に無駄ではなかった!!!
……
翌朝。
国際音楽家協会はネット上で公示を発表した。
アルリア初の音楽家を迎えることを祝して、国際音楽協会はアルリアにさらに二枠を開放することを決定した。
このニュースが出るや否や、ネット上は沸き立った!
#国際音楽協会アルリア初のメンバー#というワードが、トレンド入りした!
【すごい!夢じゃないよね、国際音楽協会アルリア初のメンバー??!】
【そのアルリア初のメンバーの名前、どこかで見たことないか...】
【YUN!!!やばい、これって吉田麻奈未の作曲家じゃない?!突然現れた大物!!!】
【じゃあ、吉田麻奈未はどうやってこんな大物を作曲家として獲得したの!??】
【えー、ポップスの作曲家が本格的な音楽家として認められるの?】
【上のコメント無知すぎ。海外の有名音楽家がどれだけYUNの楽譜を研究してるか知ってる?】
すぐに、YUNがトレンド入りしたことで、吉田麻奈未の曲も恩恵を受け、音楽アプリでの首位独占が続いた。
その後。
人々は、この国際音楽協会の突然の採用により、海外でもYUNの曲を聴きに来る人が増えていることに気付いた。
結果として、誰もがファンになり、海外の音楽チャートでも1位を獲得!大好評を博した!
このような突然の幸運は、吉田麻奈未に直接もたらされたものであり、当然多くの歌手たちの妬みを買うことになった。彼らは人脈を使って、YUNについての情報を少しでも探り出そうとした。