「お兄さん、今日はどうしたの?」
灰原優歌は、久保時渡が何か様子がおかしいと感じていた。
「何でもない、ちょっと考え事をしているだけだ」
久保時渡は軽く灰原優歌を見つめた。
少女の好意というのは、まるで突風のように、吹き過ぎれば消えてしまうものだ。
昨夜こっそりとキスをしたのに、今日は千田郁夫の優しさに心を奪われている。
「そうなんだ」
灰原優歌は理解を示してうなずいた。ちょうどその時、誰かからメッセージが届いた。
ちらりと見ると、以前の戸田霄が国際音楽協会のことについて尋ねてきていた。
灰原優歌は即座に返信した。
【いいよ】
その瞬間。
市の中心部のホテルで待機していた戸田霄の目が輝いた!
この雲城への訪問は、本当に無駄ではなかった!!!
……
翌朝。
国際音楽家協会はネット上で公示を発表した。