第350話 騙されて来た実力者?

入場後。

石川信方は隣でぶつぶつと言った。「おじいさんが申し込んだ大会に出ないで、こんな大会に出るなんて。」

今後A.M.計算研究所の活動に出席する時、他人の紹介はK.Z.ブサカ賞第XX回受賞者になるのに。

彼女は全国高校生物理コンテスト優勝者【Y.G.】??

恥ずかしくないのか???

灰原優歌は眉を少し動かして、「私が申し込んだわけじゃないわ」と言った。

それを聞いて、石川信方はすぐに理解した。

また一人騙されて来た生徒か。

ただし、永徳は自分でも気づいていないだろう。今回は本当に偶然にも天才を引き当ててしまったことを。

「まあ、頑張って...どうせ準備も整ったことだし。」

この時、石川信方は試験監督としての責務を思い出した。

突然。

灰原優歌は立ち止まり、しばらく沈黙した後、「信方兄さん、ペン忘れちゃったみたい。」

石川信方:「……」

数分後。

石川信方は上階からペンを借りてきて灰原優歌に渡し、心を痛めた表情を浮かべた。

まさか試験を受けに来てペンを忘れる人がいるなんて??!

「……ありがとう」灰原優歌はまぶたを震わせた。

灰原優歌も昼食を食べ終わったばかりで、教室に戻る暇もなく、土屋遥たちにはやし立てられてスクールバスに押し込まれたのだった。

……

試験終了後。

試験を受けに来た受験生たちが次々と試験会場を後にし、道中で議論が交わされていた。

「マジでBの問題用紙だったんだ、これ難しすぎだろ……なんでこんなに難しいんだ???」

窒息しそうになっている人もいた。

「去年のラファエルコンテストで2位だった人が永徳に転校して、物理コンテストに参加するから、急遽問題用紙が変更されたんだって。」

隣の人が続けて説明した。「でも、先生が言うには、後ろの大問だけがラファエルコンテストレベルで出題されて、前の方には基礎問題もあるって。」

「マジかよ、普通の物理コンテストに参加したのに、ラファエルコンテスト出場者レベルの人と同じ試験を受けることになるなんて!??」説明を聞いた人は絶望的な表情を浮かべた。

「さすが雲城第一の永徳だね、こんな凄い人も入学させたんだから。今年のトップ5には、彼らが3人は入るだろうね。

3年生の内田和弘と、柴田家の柴田裕香も参加したし。しかも、二人とも物理がずば抜けて優秀だし……」