皆も羨望の眼差しを向けた。内田和弘がこんなに凄いとは思わなかった。
三浦雅子も思わず内田和弘を何度も見つめ、微笑んで「和弘、すごいわね」と言った。
そう言い終わると。
後ろの柴田裕香は無言で、表情は良くなかった。元々、彼女も学年でトップクラスだったが、後半の大問は三問しか解けず、全問正解でも十数点しか取れないだろう。
そのとき。
高校三年生の女子が思わず笑って「先生、何を心配してるんですか?どうせ競技会で最下位、うちの学校と争う人なんていないでしょう」と言った。
その言葉が落ちると。
全員が無意識に前の列の某人を見た。口には出さなかったが、心の中ではこの言葉に同意していた。
落ちこぼれが、何で出しゃばってくるの?
永徳の恥になるじゃないの??
引率の先生はそれを聞いて、何も言わなかったが、スマートフォンを触っている灰原優歌に好ましくない視線を向けた。