第352章 満点の競技試験

彼は長い間抑えていて、やっと口から出そうになった罵り言葉を我慢した。

頭の中まで混乱してしまった!

「どうしたんですか、森下先生?」若い教師が振り向いて、先ほどの採点教師に不思議そうに尋ねた。

この森下先生はいつも一番落ち着いているのに、今日は幽霊でも見たかのように、びくびくしている。

「まいった……」

採点教師はまだ自分の世界に浸っていて、抜け出せないようだった。

「どうしたんですか?生徒の点数が低すぎたんですか?」

木本先生が近づいてきて、若い教師の腕を叩きながら笑って言った。「それは普通のことですよ。私が問題を作って何年も経ちますが、満点を取った生徒は一人もいません。」

さすが物理界の無敵の第一人者だ。

「いいえ、違います……」

採点教師は呆然と言った。「この生徒は……満点みたいです……」

その言葉が落ちた。

さっきまで談笑していた若い教師と木本先生は、体が硬直した!

すぐにその答案用紙を見に行った。

「こんなことありえないでしょう。ラファエルコンテストの生徒のレベルがこんなに高くなったの??」

木本先生はその乱雑な字で書かれた答案用紙を手に取り、一問一問丁寧に確認した後、まるで晴天の霹靂を受けたかのようになった!!

「木本先生、これ、これはありえないでしょう?」

若い教師は木本先生のこの表情を見て、何か良くない予感がしたが、この試験問題は自分でも満点は取れないのに、生徒が満点を取れるなんて???

「ラファエルコンテストの2位の生徒ですか?」

木本先生は徐々に声を取り戻し、少し震える声で尋ねた。

「それではないようです。ラファエルコンテスト2位の生徒は、この試験会場ではありません。この生徒は、どこから現れたのか分かりません……」

その時。

ある大学の事務棟で、誰かが全力を尽くして、早く全ての答案を採点し終えて、この生徒が一体誰なのかを確認しようとしていた。

木本先生が作成したコンテストの問題を満点で解ける実力の持ち主なら、大学が争って欲しがる人材だ!!!

……

翌日は週末だった。

灰原優歌は朝早くから柴田おじい様に会いに行った。

柴田おじい様は先日の林院長の件を知っていて、心配そうに尋ねた。

「林院長はこの頃、大丈夫かい?」

灰原優歌は頷いた。「とても元気です、おじい様。」