第340章 【Y.G.:[お年玉]おめでとう】

「優歌、どうしてここにいるの?」

林院長は瞳孔を縮め、米田夫人が連れてきたのだと思い、「早く行きなさい、優歌、私のことは構わないで!」

灰原優歌は林院長が全身濡れていて、地下室が寒いことから、米田夫人が故意にこうしたのだと分かった。

彼女の目に冷たい光が走り、持ってきた薄い毛布を林院長にかけ、支え起こした。

彼女は優しい声で、「おばあちゃん、家に帰りましょう」

……

米田家の一件が発覚し、調査が始まった。

この期間に明らかになった事件の他にも、米田家は数々の驚くべき不正取引に関与していた。

その結果、米田氏の会社は完全に没落した。

そしてこの期間。

柴田裕香もピアノの練習に専念し、国際音楽協会に入って柴田家に自分の価値を再認識させようと考えていた。

「裕香、飲み物を持ってきたよ」

内田和弘はタピオカミルクティーを持って、柴田裕香の机の横に置いた。

「ありがとう」

柴田裕香は受け取って一口飲んだだけで、そのまま置いて、笑いながら言った。「今回の月例テストでも、あなたはまた一位ね。先生が言うには、来年の市の最優秀生徒になるのは、きっとあなたでしょうって」

内田和弘は微笑んで、「来年の市の最優秀生徒よりも、今年の国内情報工学賞を取りたいんだ」

「信じてるわ、和弘。将来、あなたが雲大の情報工学科に行って、私が雲大の音楽学部に行くの」

柴田裕香はそう言って、わざと内田和弘に笑いかけながら、「優歌はどの大学に行きたいのかしら」

「あんな様子じゃ、大学に入れるわけないだろう?」

内田和弘は嘲笑的な口調で言った。

「聞いたところによると、優歌も今回の物理コンテストに申し込んで、私たちと一緒に参加するみたいよ。もしかしたら...彼女は真面目に勉強しているのかも」

柴田裕香の言葉を聞いて、内田和弘の目の中の嘲りはさらに濃くなった。「裕香、努力する人というのはそういうものじゃない。灰原優歌のような人間は、ただ注目を集めたいだけさ。

でも結局は、恥をかくだけの運命だよ。彼女は私たちとは違う、泥の中を這いずり回るしかできないんだ」

内田和弘のその言葉を聞いて、柴田裕香のピアノの上に置いていた手も、そっと緩んだ。