「優歌、どうしてここにいるの?」
林院長は瞳孔を縮め、米田夫人が連れてきたのだと思い、「早く行きなさい、優歌、私のことは構わないで!」
灰原優歌は林院長が全身濡れていて、地下室が寒いことから、米田夫人が故意にこうしたのだと分かった。
彼女の目に冷たい光が走り、持ってきた薄い毛布を林院長にかけ、支え起こした。
彼女は優しい声で、「おばあちゃん、家に帰りましょう」
……
米田家の一件が発覚し、調査が始まった。
この期間に明らかになった事件の他にも、米田家は数々の驚くべき不正取引に関与していた。
その結果、米田氏の会社は完全に没落した。
そしてこの期間。
柴田裕香もピアノの練習に専念し、国際音楽協会に入って柴田家に自分の価値を再認識させようと考えていた。
「裕香、飲み物を持ってきたよ」