第341章 渡様の腹黒さ

Y.G.が出てきた!??

どういう状況???

迷う暇もなく、手の早い人たちはもう赤い封筒を受け取っていた!

マーカスがソフトを作った時に金額の制限を設定していなかったため、みんなが受け取った赤い封筒は数千から数万で、びっくりして足がガクガクした。

Y.G.は一度に十数回も赤い封筒を配り、一つの封筒に数十万も……

これはマジで太っ腹すぎるだろ!??

そして。

Y.G.は二人の大物研究所のメンバーの心の中で、新しい呼び名が付け加えられた。

——Y.G.・福の神

すぐに、マーカスが出てきた。

【マーカス:福の神、どうしたんですか?】

【Y.G.:別に、学生が賞を取って、嬉しくて。】

メッセージを見たマーカス:「……」

さっきまでティッキーとジェースミンが泣きながら言っていたのは、自分の先生が厳しすぎて、賞を取った後も先生は高貴で冷たく「うん、分かった」とだけ返事をして、まるでそれがとても普通のことのように。

でも裏では自慢魔だったとは。

残念ながら、研修生のティッキーとジェースミンは、まだグループチャットに参加できない。

マーカスはティッキーたちにスクリーンショットを送りたい衝動を抑え、横目で見ると、赤い封筒がまだたくさん残っているのに気づいた。

そして次の瞬間、彼の指は意志とは関係なくスライドし、一緒に赤い封筒を奪い合い始めた。

悲しみに浸っているティッキーとジェースミンのことを完全に忘れて。

……

灰原優歌は階段を降りて朝食も食べずに、出かける準備をしていた。

「優歌、先に朝ご飯を食べなさい。」

久保時渡は最近この少女が少し忙しく、家にいても姿が見えないと感じていた。

「お兄さん、ちょっと用事があって。」

灰原優歌が言い終わらないうちに、突然玄関から別の声が聞こえた。

「優歌、もう行く準備はできた?」

灰原優歌が振り返ると、千田郁夫だった。

なぜ彼がここに?

灰原優歌は眉をひそめた。

「金井様が、私に迎えに来るように言われたんです。」千田郁夫は口元を緩めて笑った。

灰原優歌は聞いて理解した。

この間ずっと彼女を送迎していた溝口おじさんが用事があって、金井様に人を手配してもらったのだ。でも、金井様が千田郁夫を寄越すとは思わなかった。

「私、まだ朝ご飯を食べないと。」