第358章 まだ1位の表彰式ではない

「では、無駄話はこれくらいにして、表彰式を始めましょう」

森下先生が言い終わると、隣の篠井教授と学長たちは、受賞者四人の表彰状を手に取った。

学長が持っているのは、一位の表彰状だった。

そして。

学長が満面の笑みで表彰状を開き、三浦雅子をどのように褒めようかと考えていた時、名前を見た瞬間、その場で固まってしまった。

「こ、この表彰状は……」

学長は我に返ると、晴天の霹靂を受けたかのように、すぐに篠井教授を引っ張って、確認しようとした。

「学長、そんなに喜び過ぎないでください。まだ一位の表彰までいってませんよ」

篠井教授は肘で学長を軽く突き、冗談めかして言った。

学長の表情が引きつった:「……」

彼は本当に頭が真っ白になりそうだった。

この表彰状に書かれているのは、誰なんだ!??

学長は老眼かと疑い、震える手で勇気を振り絞って再び表彰状を開いた。

すると、もう一度、その名前がはっきりと目に入った。

これは本当に冗談ではないのか!??

学長は良い表情ではなく、七組の最後尾で話している数人に目を向け、最後には物憂げで艶やかな少女に視線を落とした。

七組の担任は、学長が自分のクラスがうるさいことを気にしているのだと思い、すぐに土屋遥たちを軽く叱った。

「おしゃべりはやめなさい。表彰式中ですよ」

土屋遥は灰原優歌を見て、彼女の肩を軽く叩いて慰めた。

灰原優歌:「……」

……

その時。

「第六位、柴田裕香、69点」

森下先生がこの成績を発表した時、会場は沸き立った。

「マジかよ?69点で第六位なんて??」

「違うよ、木本先生が問題を作ったんだから、高得点は少ないし、満点なんてありえないよ」木本先生のことを知っている人が、驚いている男子の肩を叩いた。

「そうだよ、それに木本先生は三浦雅子のせいで、いきなりB問題に変更したんだ。B問題はいつもA問題より一段階難しいのに、しかも木本先生が作った問題だし……」

これを聞いて、みんなは今回の受験者が、本来受けるべきではない仕打ちを受けたことを理解した。

これは酷すぎる。

上位十名なのに、たったこれだけの点数!?

見物人だけでなく、第六位を獲得した柴田裕香も、良い表情ではなかった。彼女は唇を噛んだ。

これは屈辱的だと感じた。