「では、無駄話はこれくらいにして、表彰式を始めましょう」
森下先生が言い終わると、隣の篠井教授と学長たちは、受賞者四人の表彰状を手に取った。
学長が持っているのは、一位の表彰状だった。
そして。
学長が満面の笑みで表彰状を開き、三浦雅子をどのように褒めようかと考えていた時、名前を見た瞬間、その場で固まってしまった。
「こ、この表彰状は……」
学長は我に返ると、晴天の霹靂を受けたかのように、すぐに篠井教授を引っ張って、確認しようとした。
「学長、そんなに喜び過ぎないでください。まだ一位の表彰までいってませんよ」
篠井教授は肘で学長を軽く突き、冗談めかして言った。
学長の表情が引きつった:「……」
彼は本当に頭が真っ白になりそうだった。
この表彰状に書かれているのは、誰なんだ!??
学長は老眼かと疑い、震える手で勇気を振り絞って再び表彰状を開いた。
すると、もう一度、その名前がはっきりと目に入った。
これは本当に冗談ではないのか!??
学長は良い表情ではなく、七組の最後尾で話している数人に目を向け、最後には物憂げで艶やかな少女に視線を落とした。
七組の担任は、学長が自分のクラスがうるさいことを気にしているのだと思い、すぐに土屋遥たちを軽く叱った。
「おしゃべりはやめなさい。表彰式中ですよ」
土屋遥は灰原優歌を見て、彼女の肩を軽く叩いて慰めた。
灰原優歌:「……」
……
その時。
「第六位、柴田裕香、69点」
森下先生がこの成績を発表した時、会場は沸き立った。
「マジかよ?69点で第六位なんて??」
「違うよ、木本先生が問題を作ったんだから、高得点は少ないし、満点なんてありえないよ」木本先生のことを知っている人が、驚いている男子の肩を叩いた。
「そうだよ、それに木本先生は三浦雅子のせいで、いきなりB問題に変更したんだ。B問題はいつもA問題より一段階難しいのに、しかも木本先生が作った問題だし……」
これを聞いて、みんなは今回の受験者が、本来受けるべきではない仕打ちを受けたことを理解した。
これは酷すぎる。
上位十名なのに、たったこれだけの点数!?
見物人だけでなく、第六位を獲得した柴田裕香も、良い表情ではなかった。彼女は唇を噛んだ。
これは屈辱的だと感じた。