第307章 灰原優歌と対立

「柴田さん」

灰原優歌はゆっくりと目を上げ、その瞳には感情の波が見られなかった。

そして今回。

柴田の父は体が硬直し、言葉も途切れた。

以前から、彼も感じていた。灰原優歌はおじい様に配慮して、積極的に冷淡な態度を見せることはなかった。

しかし今は、おじい様がまだいるのに、灰原優歌はすでに少し苛立ちを見せていた。

「優歌、怒っているのか？」柴田の父は目を暗くした。

「あなたがお嬢様を可愛がるのは当然です。でも、私とお嬢様は合わないということをご理解いただきたいです」

灰原優歌の冷たい一言で、柴田の父の表情が急変し、顔も熱くなった。

彼はもう灰原優歌を見る勇気もなく、柴田おじい様に二言三言話して慌てて立ち去った。

「優歌、お前のお父さんは...」

柴田おじい様が聞き終わる前に、灰原優歌に遮られた。

「おじい様、赤い色に変えませんか？孫娘に縁起物として」

柴田おじい様：「...」

いや、それは遠慮する。

同時に、柴田おじい様もため息をつかずにはいられなかった。

彼にも分かっていた。三人の子供たちと比べて、灰原優歌は柴田の父母に対して、まったく好感を持っていないことが。

...

学内。

三浦雅子の機嫌が悪かったので、内田和弘は彼女と一緒に校内を散歩した。

「この前、君の配信を見たよ。とても良かった。男性ファンも多いみたいだね」内田和弘は冗談めかして言った。

三浦雅子は表情が良くなかったが、無理に笑って言った。「eスポーツ界の女性は、もともと少ないからね」

「柴田浪のチームに入りたいって話を聞いたけど」

三浦雅子はそれを聞いて、目も冷たくなった。彼女は唇を噛んで、「以前はそう思っていたけど、今はもういいわ」

最初、彼女はあらゆる手を使ってチームに入ろうとしたが、柴田浪のチームの要求が高すぎて、二軍にも入れなかった。

今となっては、柴田家はすでに主神図本部と協議中で、今後の支部管理権の件について話し合っている。彼女にはもう柴田家の人々と関わる気など全くなかった。

内田和弘の目が沈んだ。彼が口を開く前に、前方から議論の声が聞こえてきた。

「柴田裕香がニレイ十八令嬢舞踏会の招待状を受け取ったって本当？」

「もちろん。トップニュースにもなったし、柴田奥様も認めたわ」