第317章 願いは何?久保時渡。

誰が知っていただろう。

男は清楚で気品があり、その笑顔が特に魅力的だった。

彼の深く磁性のある声は、笑みを含んで人の心を揺さぶった。「優歌、神様よりもお兄さんの方が君を大切にしているよ」

灰原優歌は心が揺れ、すぐに話題を変えた。「お兄さん、今日はどうしてこんなに遅くなったの?」

「大切な人を迎えに行っていたんだ」

久保時渡はケーキを置き、再びワイングラスを手に取った。

灰原優歌は彼の手を止めた。「お兄さん、この時間にお酒は飲まない方がいいんじゃない?」

今こんなに人がいるのに、久保時渡が酔っ払った姿を...

他人に見られたくなかった。

男は再び身を屈め、禁欲的な瞳の端が妖艶に上がっていた。

彼の低く磁性のある声が、彼女の耳をくすぐるように響いた。「じゃあ、優歌は先にお兄さんに願い事を教えてくれる?」