第378話 今日もYGG先生のことを考えるの忘れてた

内田和弘たちが入ってきた瞬間、雰囲気の異常さを感じ取った。

雲大の先生は、自分の学生たちの表情が深刻で良くないのを見て、すぐに状況を理解した。

ニレイ大学の数学部は、ほぼ独断的と言えるほどで、ここ数年は特に優秀な学生を輩出している。

一方、雲大はこの十年間で白木清一人だけが、ニレイ大学の数学部を圧倒した。

「どうしたんだ?誰も解答に行かないつもりか?」先生は声を落として、怒りを含んだ口調で言った。

「伊藤西紀を探しに行かせましたが、どこにいるか分からないんです……」

学生の言葉を聞いて、先生は思わず眉間を押さえた。

今や雲大は、伊藤西紀一人に面目を保たせている状態だった。

前回の物理学部討論会も、伊藤西紀が全体を仕切っていた。

しかし伊藤西紀は気性が激しく、一度頼むのは良いが、何度も頼むと全く相手にしなくなる。