第384話 解けない(月票を忘れずに)

その言葉を聞いて、先ほど驚いた人が振り向き、微笑んで言った。「最初、私もそう思っていました。

先日、私の先輩が卒業論文で、確か非線形汎関数解析に関する幾つかの問題について書いていて、この50年間ほとんど進展がないと言っていました。

ところが先月、彼女がこの分野で画期的な論文を発表したんです。全面的なブレークスルーで、先輩も論文を書き直すことにしたそうです。」

一同:「……」

それを聞くと、本当に酷い話だった。

「はっ、それがどうした?私たち情報工学科は今年、彼女のせいで何百もの問題を更新しなければならなかったんだぞ。」

後ろの席で観戦していた学生が、苦笑いしながら言った。「今年はY.G.のせいで、何人の学生が落第するか分からないな。」

「そうだよ、今年の情報工学科の学生たちは、もう他の人には頼まず、Y.G.だけを崇拝しているよ。」

後ろの二人の会話を聞いて、皆なんとなく背筋が寒くなる感じがした。

このY.G.って一体どんな神様なんだ???

灰原優歌は先ほどの学生の歯ぎしりするような口調に気付き、彼らをちらりと見やったが、すぐに視線を逸らした。

「この問題は確かにY.G.のおかげで出題されることになりました。しかし、あの例題と私たちの出題した問題は、異なるものです。」

オーマル教授が説明した。

その言葉を聞いて、雲大教授も黒板の問題を真剣に見つめ、携帯で Y.G.の例題を検索してみると、確かに二つの問題には違いがあることが分かった。

雲大教授は冷ややかに笑って言った。「確かに違いますね。しかし貴校がこの交流戦のために、教授自ら問題を作成するとは、我が雲大を本当に重視してくださっているんですね。」

オーマル教授は表情が良くなかったが、反論もできなかった。

結局のところ、原則として、教師が学生の代わりに問題を作成することは許されないのだから。

突然。

レノが口を開いた。「壇上の学生が解けないのなら、後ろの席のあの学生は解いてみる気はありませんか?」

彼は陰鬱な目で灰原優歌を見つめた。

彼女がいなければ、この問題がY.G.の例題を模倣したものだと誰も気付かなかっただろう。

しかし。

伊藤西紀はその言葉を聞いて、賞賛するような目で彼を一瞥し、そっと降りていった。

これは本当に鉄板を蹴るようなものだ。