言葉が落ちた途端。
校長は完全に呆然と立ち尽くし、頭の中で花火が炸裂したかのように混乱していた。
なんだって??!
レイ大と雲大が争っていた人物が、灰原優歌だって??
その時。
校長は遠ざかっていく灰原優歌の姿を見つめながら、この世界が非現実的に感じられた!!
どうして灰原優歌なんだ???
……
下校時間が近かったため、灰原優歌は教室にあまり長く留まらず、すぐに帰る準備を始めた。
今日は、校門前のファンの数が少なくなっているようだった。
校門前。
柴田裕香が門を出たところで、柴田の父の姿を見かけた。目の奥に暗い色が走り、足を速めた。
「お父さん。」
声を聞いて、柴田の父は思わず振り向いた。まさか柴田裕香に会うとは思っていなかった。
「裕香か……」柴田の父は気まずそうな表情を浮かべた。