第391章 どうやってこの氷山を温めたの?

その時。

灰原優歌が口を開く前に、横にいた金縁眼鏡の男性が突然声をかけた。

「優歌」

灰原優歌は柴田おじい様の前では、とても礼儀正しかった。

「はい?」灰原優歌は彼の方を向いた。

「おじい様の体調がまだよくないから、本邸に戻って暫く一緒に住んでみない?」

柴田陸信の落ち着いた声には、かすかな優しさが滲んでいた。

横にいた柴田裕也と柴田浪は、この展開を見て心の中で兄に拍手を送りたくなった。

さすが兄貴!

優歌がおじい様のことを一番心配していることを知っていて、おじい様を使って家に連れ戻そうとするなんて。

柴田おじい様も戸惑いながら長男の孫を見つめ、疑問符を浮かべた顔をしていた。

「???」

陸信は誰のことを言っているんだ?

「体調がよくない?」灰原優歌は眉をひそめた。