他の人が口を開く前に、柴田陸信の声が響いた。
「柴田さんがなぜここにいるのですか?」
柴田裕香は柴田陸信と目が合った瞬間、なぜか恐怖を感じた。
「お兄さん……」
柴田裕香は唇を噛んで、哀れっぽく言った。「追い出さないでください」
その様子を見て。
雲田翁は先ほどの柴田の母の願いを思い出し、口を挟んだ。
「子供も柴田の歓迎会のために来たんだ。そんなに疎遠にする必要はない。血は繋がってなくても、情があるだろう」
その時。
柴田陸信は薄い唇を歪め、礼儀正しく丁寧な口調で。
しかしその言葉は雲田翁の顔色を悪くさせた。「雲田様がそんなに寛容なら、なぜ三男の私生児は家に引き取らないのですか?あれだって、実の子供ですよ」
公の場で傷口を開かれ、雲田翁の顔色が一変した!
怒りで体が震えそうになった!
これが彼と何の関係があるというのか??!
しかし。
柴田おじい様は柴田陸信のその言葉を聞いて、嬉しそうに笑った。
彼は意図的に穏やかな口調で言った。「そうだな雲田、子供には君の血が流れているんだぞ!一目も見ようとしないなんて、それは畜生じゃないか?!」
その言葉が落ちると。
柴田の母も顔を青ざめさせ、柴田おじい様が誰かを当てつけているように感じた。
「あなた!」
雲田翁は顔を真っ赤にし、親友にこんな刺激を受けるとは思わなかった。
普段なら、柴田おじい様はこの件を知っていても、他人の家庭の事には口を出さず、せいぜい遠回しに一言言う程度だった。
しかし今は、雲田翁は柴田家の怒りを買ってしまった。
反論されないわけがないだろう??
「浪、柴田さんを外まで送ってあげなさい」
柴田陸信が言った。
しかし柴田の母はそれを聞くと、すぐに柴田裕香の前に立ちはだかった。「裕香がなぜ出て行かなければならないの??!」
柴田家の他の人なら、柴田の母のしつこい態度にすぐには対処できないかもしれない。
しかし柴田陸信は例外だった。
柴田陸信は平然と言った。「お母さんも食事は済んだでしょう。一緒に送り出してください」
「柴田陸信!!!」
柴田の母は怒りで胸が詰まった。
こんな不孝な息子を産むことになるとは、思ってもみなかった!
突然。
階段を降りてきた柴田の父が眉をひそめた。「陸信、お前の母親に対するその態度は何だ?」