「じ、じゃあ、私、なんとかしてみます」
佳枝は顔が妙に熱くなり、その後目を輝かせながら、灰原優歌に近寄って小声で言った。「灰原さん、私の席は2階にあるんですが、おばあさまと一緒に来ませんか?」
どうせ彼女の席は端にあって、普段は誰も気にしていない。
灰原優歌は目の前の素直な娘を見て、思わず小さく笑った。
彼女が笑うと、瞳に光が宿ったかのようだった。「ありがとう、お姉さん」
ただし。
上階に着いた時、佳枝は違和感に気付いた。
このお嬢様のおばあさま、どこかで見たことがあるような???
佳枝が考え込んでいると、階段を開けた途端、片原茉子が50代後半の堀川社長の腕を組んでいるところに出くわした。
その瞬間。
佳枝は呆然とした。
一方、片原茉子は佳枝を見るなり、表情が歪みそうになった。