小島茂は聞いて、何も言わなかった。
心の中では、何かが蠢いていた。
もし柴田浪の手に本当に問題があるなら、これからは柴田浪のチームは主力を失うことになる。そうすれば、彼には自分のチームを率いて、国内ナンバーワンのチームになるチャンスがある!
そう考えると、小島茂は思わず興奮を抑え、冷静さを保とうとした。
「様子を見てみよう。柴田浪が降りたのは、あの女の子のためだけかもしれない」
小島茂がそう言うと、メンバーも思わず灰原優歌の方を見て、先ほどの光景を思い出した。
これは確かに柴田浪のいつもの性格とは全く違っていた。
雰囲気が沈黙する中。
小島茂が顔を上げると、ちょうど楽屋に入ってくる灰原優歌の姿が目に入った。
彼の目の奥に不気味な光が走り、灰原優歌が中に入っていくのを見ながら、ただチームメイトの肩を叩いた。