第436章 彼の後ろには柴田家、俺の後ろには小島家

小島茂は聞いて、何も言わなかった。

心の中では、何かが蠢いていた。

もし柴田浪の手に本当に問題があるなら、これからは柴田浪のチームは主力を失うことになる。そうすれば、彼には自分のチームを率いて、国内ナンバーワンのチームになるチャンスがある!

そう考えると、小島茂は思わず興奮を抑え、冷静さを保とうとした。

「様子を見てみよう。柴田浪が降りたのは、あの女の子のためだけかもしれない」

小島茂がそう言うと、メンバーも思わず灰原優歌の方を見て、先ほどの光景を思い出した。

これは確かに柴田浪のいつもの性格とは全く違っていた。

雰囲気が沈黙する中。

小島茂が顔を上げると、ちょうど楽屋に入ってくる灰原優歌の姿が目に入った。

彼の目の奥に不気味な光が走り、灰原優歌が中に入っていくのを見ながら、ただチームメイトの肩を叩いた。

「先に戻っていろ。この件は俺が対処する方法を知っている」

そう言うと。

小島茂は灰原優歌の後ろ姿を追いかけ、目の奥の軽蔑と皮肉がますます濃くなった。

まさか、この女が一人で楽屋に来る勇気があるとは思わなかった。

しかし。

この時、小島茂はすでに一つの決心を固めていた。

柴田浪がこの女の子をそれほど大切にしているなら、彼女に触れたらどうなるだろう?

柴田浪のこの女の子への気遣いからすれば、きっと試合を早く終わらせて、自分に文句を言いに来るはずだ。次のラウンドで、柴田浪は必ず自ら出場するだろう。

でも、もし柴田浪が怪我をしていたら……

どこに自ら試合に出る勇気があるというのか?

小島茂の口角の弧がより明確になった。

もし柴田浪が本当に怪我をしているなら、彼がeスポーツ界から追放される日も楽しみだ。

そう考えながら、小島茂はすでに灰原優歌の後をつけて、1階のエレベーターホールまで来ていた。

灰原優歌が中に入るのを見て、小島茂もすぐにエレベーターに乗り込んだ。

この時。

灰原優歌は小島茂をちらりと見て、艶のある唇が少し上がったが、目には笑みの色はなかった。

彼女は何気なく4階のボタンを押した。

隣の小島茂は、灰原優歌が押した階数を見てから、フッと笑った。

「4階は管理層だけど。お嬢さんは管理層の人を知っているの?」

灰原優歌は彼に一瞥もくれず、ただ静かに待っていた。

すぐに。

4階に到着。