「おじい様、大丈夫です。いくら必要ですか?振り込みますよ」
灰原優歌は携帯を取り出し、柴田おじい様に仮想通貨を送ろうとした。
前回、主神図本部のバグ修正を手伝った時、システムから大量の仮想通貨が自動的に支給された。
いくらあるのか、灰原優歌も後ろに何個ゼロがあるのか数えていなかった。
ところが。
柴田おじい様はそれを聞くと、目を輝かせた。
すぐに近寄って言った。「優歌、あなたも抽選に参加しなさい!」
灰原優歌:「……」
こんな当選確率の低い抽選イベントは、参加しても参加しなくても同じだ。
「おじい様、私はたくさん持っています」
「それでもお金を払って買ったものでしょう!」
柴田おじい様は強く反対して言った。「これはお金を使わずに得られる喜びとは比べものにならないわ。おじい様の言うことを聞きなさい、抽選に参加しなさい。
安心して、去年おじい様があなたの運勢を占ったとき、大富の相が出たわ!絶対に当選するはずよ!」
灰原優歌:「……」
大富の相をそんな風に使うものなのか?
灰原優歌は口角を引きつらせながらも、柴田おじい様の気持ちを無視せず、抽選に参加した。
どうせ、この確率の賞品なら、参加しても無駄な参加だろう。
しかし。
数秒後。
灰原優歌は画面に特殊エフェクトの光が現れるのを見て、なぜか不吉な予感がした。
次の瞬間、一行の文字が彼女の携帯画面に浮かび上がった。
【おめでとうございます!特等賞に当選しました~~】
灰原優歌は息を呑んだ:「……」
そして。
皆が突然画面上に、特等賞のID表示が同時に現れるのを見た。
【特等賞ID(1名):Y.G.】
この一行は、隣の当選仮想通貨と比べて、大きくはっきりと表示されていた。
その瞬間。
会場全体が凍りつき、頭の中も混乱した!
「これは、偽物のIDですか?」
「……主神図で、偽物なんてあり得るの??」
そして。
雰囲気は一瞬にして、さらに不思議なものとなった。
続いて。
会場から悲鳴が上がった。
「Y.G.!!Y.G.なの!!?」
「これは次元を超えるような展開??!」
「ああああY.G.がステージに上がって賞品を受け取るの??!」
特等賞の賞品は、ステージに上がって選手とハグすることだった。
それを思い出した観客たちは、興奮で爆発しそうだった!