Y.G.は絶対に会場にいるはず!
ただ姿を見せたくないだけだ。
「ダメです!この賞はY.G.のものです!」
すると、客席から騒ぎ声が上がった。
「そうそう、ステージには見た目もまあまあの二人がいるし、浪兄さんもあんなにイケメンだし、Y.G.さん、顔を立ててよ~」
「Y.G.さん、浪兄さんを見てあげて、お願い!!」
会場の女性観客たちは、声を競うように叫んでいた。
他の観客や選手たちも思わず笑いだした。
ステージ上。
柴田浪のチームメイトも感慨深げに言った。
「まさか、こんな風に文化人と近づけるとは思わなかった。」
かつては、先生たちの目の上のたんこぶだったのに。
今やY.G.が試合を見に来てくれるなんて、この感覚は最高だ。
「文化人も僕たちの試合を見に来てくれるんだね。」
チームメイトたちは冗談めかして言った。
しかし。
柴田浪は鼻で笑って、「諦めろよ、Y.G.がプロになったら、お前らこの席に座れないぞ。現実を見ろ。」
その言葉が落ちた。
メンバーたちは反論しようとしたが、ふと思い出した。Y.G.は主神図で未だに破られていない一位の記録を持っているのだ。
「……」
勉強人は勉強人らしくあるべきで、ゲームなんかやるべきじゃないのに??
でも。
実は業界には高学歴のプレイヤーも多い。例えば柴田浪は、雲大の数学部だ。
「もしかして、私たちを見下してるから、賞を受け取りに来てくれないのかな?」チームメイトは震えながら言った。
このイベントは、本来一番心温まるはずだった。普通は可愛い女の子が当選するのに。
なのに今回は??
まさかの大物が当選してしまった。
……
観客たちの騒ぎに対して、司会者は相変わらず甘い声で微笑みながら、「皆さんの当選者への熱意が、選手たちへの熱意を超えているのはわかります。
でも大丈夫です。本当に好きなら、作品をもっと応援してください。」
観客たち:「……」
なんて恐ろしい女性だ。
Y.G.の作品?それは人間に理解できるものなの???
結局。
二回目の特等賞は、清楚な女子学生が当選した。
ステージに上がるなり柴田浪を抱きしめ、その後真っ赤な顔で下りていった。
……
試合が正式に終わり、帰り道で柴田おじい様は何人もの人に声をかけられた。