第421話 バーゲン

どうしてこんなことに??

安美姉さんがどうして彼を即刻解雇したの!!?

川瀬主任だけでなく、隣にいた片原茉子も精神崩壊したかのように、顔の表情は泣きそうで笑いそうで、「どうしてこんなことに?!」

隣に住んでいたあの老人が、まさか彼らの言う雲城大学の前院長だったなんて??!

この少女が柴田家のお嬢様なら、なぜあの老人を高級マンションに住まわせているだけなの??

その瞬間。

片原茉子が我に返る前に、携帯の着信音が鳴り続けた。

取り出して見てみると、ずっと電話をかけてきていたのは、マンションの管理人の森口だった。

片原茉子も彼を怒らせたくなかったので、すぐに電話に出た。

しかし予想外にも、森口の冷淡な声が聞こえてきた。「片原さん、申し訳ありませんが、来週までに引っ越しをお願いしたいのですが。」

「何?どういう意味?なぜ私が引っ越さなきゃいけないの??!」

「当マンションの入居条件に合わないため、引っ越しをお願いすることになりました。」

森口は作り笑いを浮かべながら、「お嬢様もご存知の通り、当マンションで最高級なのは、あなたがお住まいの棟です。しかし、お家賃はそれほど高くありませんでした。

なぜなら、これはお客様がマンションを選ぶのではなく、マンションがお客様を選ぶということなのです。」

最後の一言には、深い意味が込められていた。

片原茉子は、自分が久保氏から解雇され、今度は強制的に引っ越しを迫られていることを考えると、心の中に怨みと怒りが湧き上がってきた。

「あなたよ!あなたがやったのよ!!」

片原茉子は振り向くと、歯ぎしりしながら灰原優歌を睨みつけた。「よくもこんなことができたわね?」

「なぜできないの?」

灰原優歌は嘲笑うように笑い、物憂げな目つきには言い表せない傲慢さがあり、ゆっくりと反問した。

片原茉子は、これだけの人がいる中で、灰原優歌が堂々と認めることに驚いた。

「あなたは報いを受けるわ!私のことが気に入らないからって、意図的に報復するなんて!??」

「片原さんは考えすぎですよ。」

「考えすぎ??じゃあなぜ私を追い出すの!?」

これを聞いて。

灰原優歌はゆっくりと目を上げ、しばらく彼女を見つめた後、意味深な笑みを浮かべながら尋ねた。「私の所有する物件を、なぜあなたに貸さなければならないのかしら?」