「大丈夫よ、優歌は機嫌を直しやすいから、許してくれるわ」
林院長は微笑んで、この青年が本当に灰原優歌のことを想っているのが分かった。
しかし柴田裕也はそれを聞いて、喉が締め付けられるような感覚を覚え、さらに深く俯いた。その声には、かすかな苦みを帯びた笑いが混じっていた。
「でも、私は許されない罪を犯したんです」
あの時の自分を殺してしまいたいほどの。
柴田裕也は帽子の縁を押さえ、目尻の赤みは見えなかったが、声は少し掠れていた。
彼は虚しく笑って、「許してくれようと許してくれまいと。大丈夫です、私は一生優歌のために尽くします」
優歌の許しを得る資格なんて、彼にはないのだから。
林院長も一瞬驚いたが、すぐに苦笑して、その濁った瞳は世の中を見通しているかのようだった。
林院長は柴田裕也の肩を叩き、袖口を直してあげながら、慈愛に満ちた優しさで「うちの裕也は、本当はいい子なのよね」と言った。