第462章 彼女より自然に呼んでいる

「本当に思いつきで行動するんですね」

秋木謙は無言で微笑んだ。

「面白い人に出会うのは久しぶりだからね」

老人は窓の外を見ながら笑って言った。

……

その時。

A.M.計算研究所でも波紋が広がっていた。

金井雅守はマーカスに電話をかけた。「南崎希が雲城に来ていることを知っているか?」

マーカスは金井雅守がこの人物について触れるとは思っていなかったようで、長い間沈黙した後、「彼は既に行っているよ。ヒギンズ家族は後継者と財産分与の件で長いこと揉めていたからね」

金井雅守もしばらく黙り込んだ。「じゃあ、彼がここで後継者を選ぶつもりだということは知っているか?」

「この老いぼれは気が狂ったのか??」マーカスは体が凍りついたかのように固まり、すぐさま驚きのあまり罵声を上げた。

この南崎希は、はるばる雲城まで後継者を探しに来たというのか!??

ローシェルの若手が物足りないから、外国の人材に目を向け始めたということか???

「私も彼が何を考えているのか分からない。もう三十五歳以下のコンピューター分野のエリートを調査するよう頼まれている」

金井雅守は思わず後頭部を叩いた。「さっき石川信方すら気に入らなかったのに、一体誰を望んでいるんだ???」

天に昇りたいとでも言うのか!

後継者だって!このような条件で選んでいたら、半分土に埋まるまで後継者は見つからないぞ!

「……南崎希は君たちのところで何かショックを受けたのか?」

「それは分からない」

金井雅守は口角を引きつらせた。「とにかくこの件は漏らすな。さもないと面倒なことになる」

「漏らさなくても、長くは隠せないだろう。南崎希が今回雲城に来ていることは、既に多くの人が知っている。大々的にヒギンズ家族の後継者を探していれば、注目されないはずがない」

マーカスは冷笑した。

これはローシェルの四大家族の一つなのだ。

ローシェル計算技術研究所の古参メンバーも、かつてはヒギンズグループから分離した研究部門の人員だった。

ほとんどの人は知らないが、実はマーカスも南崎希が若かった頃に指導した研究者の一人だった。

「今回はコンテストという名目で、コンピューター分野のエリートを募集する。もちろんヒギンズの名前は出さない」