第463章 いつからそんなに親しくなったの

言葉が終わるや否や。

灰原優歌が振り返って何か言おうとする前に、突然ドアの音が聞こえた。

「優歌」

灰原優歌が目を上げると、千田郁夫がドアから入ってくるのが見えた。

傍らの久保時渡がどんな表情をしているのかには気付かなかった。

「どうしてここに?」灰原優歌は少し意外そうだった。

「君の物を忘れてたから」

千田郁夫は持ってきた本を彼女に渡した。

二人の会話を聞いていると、知らない人は二人が私的にとても仲が良いと思うだろう。灰原優歌が本を千田郁夫のところに置き忘れるほどに。

しかしこの時。

灰原優歌は、千田郁夫が手に持っている分厚いコンピュータの本だけに気を取られ、無意識に受け取った。

彼女は「ありがとう」と言った。

千田郁夫は軽く笑って、「この本、表紙を見る限り外国語ばかりで、翻訳もないみたいだね」