千田郁夫は眉間を揉みながら、端正な顔立ちに疲れの色が滲んでいた。
明らかに、この事件には相当な労力を費やしたようだ。
「見つかってよかった。本部に戻れば、後は何とかなるだろう」
灰原優歌はケーキをスプーンですくい、口に運んだ。
千田郁夫:「……」
本部に戻れば何とかなるとはどういう意味だ?
「ローシェル計算技術研究所に連絡を取るように指示してください。彼らはローシェル側と協議済みで、組織の本部の位置特定を支援してくれるはずです」
やはりローシェル計算研究所は国家機関だから、他の誰よりもローシェル側は自国の研究者を信頼しているのだ。
ただし、なぜこれらの神様たちが突然降臨して国家の問題に関心を持つようになったのか、それは少し不可解だった。
「本、本当ですか?」千田郁夫も幻聴かと思うほどだった。