階段を上がった後。
灰原優歌はメッセージを受け取った。
チャットリストを開くと、ティッキーたちが送ってきたスクリーンショットだった。
そのスクリーンショットの内容は、この間ずっと物議を醸している堀川紀明が、灰原優歌を当てこすった後、また随筆を書いたものだった。
タイトルは『資本家の玩具』。
予想通り、堀川紀明のこの悪を憎むような随筆で、非難されている主役はまた灰原優歌だった。
【ティッキー:先生、この人と何か恨みがあるんですか?】
【ジェースミン:この人本当に品がないですね。私とティッキーがネットを見たら、彼の学生が翻訳版を海外サイトに投稿してるのを見つけました。】
【ジェースミン:でも大丈夫です、私とティッキーが先生の代わりに反論してやりました。[いいね]】
灰原優歌はこれらのメッセージを見て、少し考えてから、すぐに返信した。
【Y.G.:前回出した課題、全部終わった?】
ローシェルにいるティッキーとジェースミン:「……」
なぜ先生は自分のゴシップよりも、彼らの課題の方を重視するのだろう?
【ティッキー:もう終わってます】
【ジェースミン:+1】
【Y.G.:うん。他のことは私が解決するから、心配しないで。】
灰原優歌は本当に予想していなかった。堀川紀明はこの年になっても、まだこんなに騒ぎ立てるなんて。
しばらくして。
灰原優歌はマーカスにメッセージを送った。
……
セイソウ計算センター。
堀川紀明はネット上で、普段から親しくしている友人たちだけでなく、他のネットユーザーまでもが次々といいねやシェアをして、自分の意見を支持しているのを見て、眉間に誇りが加わった。
彼はコメント欄を開き、さらに下へとスクロールした。
【私もY.G.には前から問題があると思っていました。一ヶ月前まで名前も聞いたことがない人が、いきなり1000億円の研究プロジェクトを獲得し、その後またEGグループのバグ修正まで。
あまりにも偶然すぎませんか?】
【陰謀論の余地はありますね。彼女がそんなに凄いなら、なぜブサカ賞では彼女の情報が全くないんでしょう?参加招待すらなかったんじゃ...】
【ふん、知らないの?Y.G.は今日主神図の試合を見に行ったんですよ。会場中が彼女の名前を呼んでて、知らない人が見たらアイドルかと思うでしょうね...】