【えっ?本当に間違えたの??この女の子は何しに来たの?!】
【確か、2階で選抜オーディションがあって、今日は12階で音楽協会の選抜も行われているはず……
だから柴田裕香が演技を終えて音楽協会の選抜に行ったってことは、この女の子も第三次音楽協会選抜の参加者なの???】
この発言は、すぐに柴田裕香のファンの不満を買った。
結局のところ、柴田裕香の最大の売りは音楽協会選抜で第三次まで進んだことだった。
今、柴田裕香のファンは、自分たちのアイドルと同じキャラ設定の人が現れたのを見て、当然警戒心を抱いた。
【参りました、素人が早くも私たちの裕香に便乗し始めたの?裕香は20歳未満で唯一の第三次試験参加者よ、裕香を連れて帰ります[さようなら]】
【えっと、音楽界で裕香は大先輩でしょう、制作陣は素人に大魔王キャラを演じさせているの?
わざと道を間違えたふりをして、みんなに音楽協会選抜の参加者だと思わせようとしているの?[疑問][疑問]】
【酸っぱい酸っぱい、あなたたち裕香ファンは生まれつきの嫉妬深さ?】
【麻奈未が彼女を知っているってことは、絶対ただものじゃない!!!】
【血判状を書いてでもお姉さんにデビューしてほしい!!】
【+1、あぁぁぁお姉さん行かないで!お姉さん彼らに怒らないで、私に怒って!!】
【笑っちゃう、あなたの麻奈未だって素人出身じゃない、どんな凄い人を知ってるっていうの?】
……
みんなが議論している間に、灰原優歌は無事に12階の管理者に見つけられた。
そして数時間後、#万人血判状でピアノお姉さんを求む#というワードが、トレンド入りして大きな話題となった。
みんなオーディション番組の可愛い系の子には慣れていたし、番組内の姉御肌キャラも数多く見てきた。
でも初めてだった、生まれながらの大魔王オーラを纏った女の子が現れたのは。まるで全身から「私は我慢強くないから、私を怒らせないで」というオーラを放っているかのようだった。
一言二言の反問で、制作陣とメンターたちを凍りつかせた。
皮肉なことに、みんながこの人は傲慢すぎると思った時、彼女のピアノの腕前は会場を圧倒し、誰も文句を言えなくなった。
まさに大魔王の気質そのものだった。