第477章 YUNがいない間に?

その瞬間。

灰原優歌は誰かが後をつけて盗撮していることに気づき、思い切ってビルの外の服屋に寄って、着替えてから入ってきた。

しかし、ドアを開けると柴田裕香がいるとは思わなかった。

「どうしてここに?」

柴田裕香は目に暗い色が浮かび、笑いながら尋ねた。「音楽協会の選抜に来たの?」

灰原優歌は何気なく彼女を一瞥して、「まあね」と答えた。

柴田裕香はそれを聞いて、一瞬表情が凍りついた。灰原優歌が本当に第三次選抜に参加するとは思わなかった。

でも、第二次選抜を通過したのは、二十歳以下では彼女一人だけだったはずでは?

柴田裕香は拳を握りしめ、微笑んで言った。「あなたも第二次を通過したなんて意外ね。頑張ってね。音楽協会であなたに会えることを願ってるわ」

灰原優歌はそれを聞いて、ただ軽く嘲笑うように鼻を鳴らし、唇の端にかすかな弧を描いた。

「そうね、願うわ」

言い終わると。

灰原優歌はエレベーターホールに入り、横にいたスタッフは最後まで声を出す勇気がなかった。

「YUN先生、さっきの方は……」

「どう思う?」灰原優歌は物憂げに12階のボタンを押しながら、ゆっくりと尋ねた。

「私は知りません!何も聞いてません、何も見てません!」

スタッフは一瞬でドラマのような場面を思い浮かべ、即座に察して言った。

灰原優歌:「……」

彼女はスタッフを横目で見て、何も言わなかった。

12階に到着するまで。

「こちらへどうぞ、ここは……」

「出演者はどこで演奏するの?」灰原優歌は尋ねた。

「あ、こちらのホールで……」

灰原優歌は彼が指す方向を見て、軽く頷いた。「わかったわ、自分で行くから案内はいいわ」

そう言って。

灰原優歌は立ち去った。

……

ホールの中。

突然、一人の少女が入ってきたのを皆が見た。

少女は帽子を被り、黒のストライプスーツを着て、白いシャツのボタンを二つ外し、レザーのショートパンツを履いていて、長い脚が眩しいほど白かった。

灰原優歌は待合エリアに座り、とても気ままに前の人々を見渡した。

前で選抜を行っていたアルネと金谷智志は眉をひそめた。

これは……出演者?

見覚えがないんだが??

「続けましょう」

金谷智志が言った。

それを聞いて、アルネも深く考えずに、次の人に演奏を続けさせた。