第455章 友達になる

薄田京香は言葉を聞いて、顔の笑みがほぼ凍りついた。

「彼女も弾けるの？」

「灰原さんの演奏は素晴らしいわ」森口夫人は舌打ちを繰り返した。どうして自分の娘じゃないのかしら？？

見た目も良くて、ピアノも上手。

それなのに、こんなにも謙虚で、自分のピアノは普通だと言う。

「さっきは灰原さんが謙遜していたようですね」

薄田京香は目を暗くし、また佐藤知行に向かって微笑んだ。「知行、あなたの友達はすごいわね」

佐藤知行は頷いた。「彼女は僕が最も尊敬する人で、何でもできるんです」

遠くで聞いていた土屋遥：「……」

まずい、佐藤知行は完全に灰原優歌の熱狂的なファンになってしまった。

薄田京香の笑顔が引きつっているのが見えないのか？？

その時。

音楽を学ぶ別の女子学生が言った。「そういえば、麻奈未とYUNの関係はどうなのかしら。YUNは彼女の専属アレンジャーだって聞いたわ」

薄田おじいさんはそれを聞いて、重要なことを忘れていたことに気付いた！

「麻奈未はどこだ？？！」薄田おじいさんは突然立ち上がった。

この態度に、薄田京香の笑顔も凍りついた。

彼女は思いもしなかった。吉田麻奈未がYUNという存在によって、薄田おじいさんにここまで気にかけられるようになるとは。

……

庭園にて。

道を歩きながら、吉田麻奈未はアイスクリームを突きながら食べていた。女優としての自覚が全くない。

「優歌、さっきの白いTシャツにカジュアルパンツを着ていたおじいさん見た？薄田集団のおじいさんよ。覚えてる？」

灰原優歌は突然思い出した。「音楽協会の選抜の時のあのご老人？」

彼女は選抜のビデオで見たあのご老人を覚えていた。燕尾服を着て、礼帽をかぶり、髪の毛も隙間なく整えられていた。

さっきのカジュアルなおじいさんとは全く似ていなかった。

「そうそう！」

灰原優歌は眉を上げた。「知り合いなの？」

「薄田家と吉田家は代々の付き合いがあって、私と薄田夫人は仲が良いの。だから最近、あなたが私のアレンジャーだと知って、何とかして薄田おじいさんに枠を一つ譲ってもらえないかって考えているみたい」

吉田麻奈未の説明を聞いて、灰原優歌も頷いた。「なるほど」

「うん……優歌、薄田おじいさんは通過できると思う？？」吉田麻奈未は慎重に探りを入れた。

「分からない」