第465章 甘えん坊な子供

この男は体力がいいな。

こんなに長く走っても、息が上がっている様子もない。

十数分後。

灰原優歌はもう走り続ける忍耐が尽きて、前を行く男の服の裾を掴んだ。

「お兄さん、ご飯に行きましょう」

灰原優歌は長い間研究室に座っているか、教室で寝ているかで、確かにもう付いていけなくなっていた。

「優歌、体力が足りないね。少し休憩して、また走る?」久保時渡は目の前の少女を見つめた。瞳は輝いていて、疲れた様子もなく、頬は健康的なピンク色を帯びているのに、もう止めたがっている。

甘えん坊な子だな。

しかし。

灰原優歌はそれを聞くと、またじっと彼を見つめて、「あなたこそ息切れしてるでしょ」

男は思わず一瞬固まり、その後ゆったりと眉を緩め、細かな笑みと慵懒さを浮かべた。

彼はセクシーな喉仏を動かし、低く笑い声を漏らした。少し掠れていた。