第548章 そんなにプレゼントが欲しいの?

「着きました。あなたと渡様だけ降りていただければ」

灰原優歌は応じて、「はい、ありがとうございます」

「どういたしまして」

曽田助手は少し不思議に思った。今日は渡様はお酒を飲まされなかったのだろうか?

以前、渡様が酔っ払った時は、あまり話したがらず、人にも構わなかったはずだ。

灰原さんが対応できるかどうか心配だ。

そしてこの時。

灰原優歌は男性が手を繋いでおとなしくしているのを見て、思わずほっとした。

もし前回のように人前でそんなことになったら、殺して口封じするしか他に良い方法は思いつかなかっただろう。

ただし。

外では夜風がそよそよと吹き、時折クラクションの音が聞こえる以外は、静寂が支配していた。

灰原優歌も手の温もりを感じ、何となく慣れない感覚に襲われた。

思考を切り替え、灰原優歌は早く彼を車に乗せたいと思った。