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帰り道で、海野桜は車の窓に寄りかかり、目を閉じて前世で起きたすべてを振り返っていた。
前世、12歳の時に18歳の東山裕に出会って以来、彼に夢中になってしまった。
でも、彼は彼女を愛していなかった。
彼と一緒になるため、あるパーティーの後、酔った彼と肉体関係を持った。
海野家は並の家柄ではなく、二人が肉体関係を持ってしまった以上、東山裕は彼女と結婚せざるを得なくなった。
当時18歳だった海野桜は、彼と結婚すれば完全に彼を手に入れられると純粋に信じていた。(本作では、法定結婚年齢は18歳です~)
しかし、それは悪夢の始まりに過ぎなかった……
東山裕は彼女に対して非常に冷淡で、嫌悪感すら示していた。
どんなに彼の機嫌を取ろうと、どんなに愛そうと、彼は一切心を動かさなかった。
その後、東山裕と林馨に何かあるのではないかと疑い、海野桜は嫉妬心が爆発した。
何度も大声で喧嘩を起こし、林馨に手を出し、二人を引き離そうとした。しかし、東山裕の心を取り戻すどころか、むしろ彼に避けられるほど嫌われてしまった。
毎日、東山裕の冷たい態度に直面し、彼と林馨が親密になっていくのを目の当たりにした。
どうすることもできない海野桜は嫉妬で狂いそうになった。
甘やかされて育った彼女は、なりふり構わず車で林馨の車に突っ込んだ。
殺すつもりはなく、ただ懲らしめたかっただけだった。
しかし、この出来事が東山裕を激怒させる決定的な要因となった!
そして、東山裕と林馨の関係が深まるきっかけにもなってしまった。
それ以来、東山裕は徐々に林馨に心を寄せるようになった。海野桜は当然、大声で喧嘩を続ける悪循環に陥り、東山裕はついに我慢の限界を超え、離婚を決意した!
海野桜はこの結婚を繋ぎ止めるため、多くの愚かな行動を取った。
自傷行為、林馨の誘拐、林馨への度重なる陥れ、手段はどんどん悪質になっていった……
もちろん、結果はいつも裏目に出て、結婚生活を繋ぎ止めようと努力すればするほど、東山裕と林馨との絆を深めることになり、かえって二人を愛し合う関係に導いてしまった。
東山裕も彼女に対する憎しみが極限に達し、何が何でも離婚しようとした!
そこで絶望した海野桜は林馨と心中しようと考えた。
しかし、林馨は運が良く、車で突っ込んできた時に誰かに押しのけられ、別の人は轢き殺されてしまい、林馨は無傷だった。
最後は当然、海野桜は投獄され、死刑判決を受けた……
前世で自分がした愚かな行動を思い出し、海野桜は苦しそうに目を閉じた。
本当に愚かだった。自分のものではない男のために一生を棒に振り、救いようのない愚かさだった。
今世では、もうあんな愚かなことはしない!
東山裕から距離を置くだけでなく、彼らを……成就させよう!
そう、彼らを成就させ、二人を結ばせよう!
……
東山裕との共同の家に戻った海野桜は、まるで別世界にいるような感覚を覚えた。
以前は、この家をとても大切にし、家の隅々まで自分の手で飾り付けていた。
しかし東山裕はここを自分の家とは思っておらず、めったに帰ってこなかった。
海野桜はいつも独りだった……
前世での東山裕の冷淡な態度を思い出し、海野桜は恨むことなく、ただ自分の愚かさを感じた。
彼女の世界は彼を中心に回っており、とうの昔に自分を見失っていた。愚かでなくて何だろう?
でも良かった。本当に良かった。やり直すチャンスがあること。
とにかく海野桜の心は、神様への感謝の気持ちと、新しい人生への期待で満ちていた。