第19章 例えば、愛を見せびらかすこと

柴田治人は林馨のことを少し同情したものの、彼女は解雇されなかったので、この結末も悪くないと思い、それ以上何も言わなかった。

そもそも彼がここに来たのは、東山裕と対策を相談するためだった。

対策はすでに考えていた。

柴田治人は唇を曲げ、魅力的な涼しげな目に少し揶揄の色を浮かべた。

「一番いい解決策は、お前と奥さんが力を合わせて誤解を解くことだと思う。例えば、ラブラブアピールとか……」

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海野桜は朝早く目覚めると、彼女と東山裕が離婚するという話が漏れ出ていることを知った。

彼女は驚き、誰が漏らしたのか分からなかった。

少なくとも東山裕ではない。彼は離婚したくないのだから、情報を漏らすはずがない。

林馨だろうか?

昨日、彼女が東山裕に協議書を渡したとき、林馨もその場にいて、おそらく見たのかもしれない。