下書きには建物の大まかな輪郭が描かれていた。
その輪郭は独特で斬新な形をしており、まるで……建築学の観点から描かれたかのようだった。
適当に描かれたものではない……
東山裕は深い眼差しで見つめた。これは海野桜が自分で考え出したものなのか?
しかし、彼は確信していた。これは彼が描いたものではないし、本にもこのような建築物は見当たらない。
さらに驚いたことに、彼女が描いた建築物は、まさにこれから入札しようとしている建築物のタイプにぴったりだった。
彼は彼女にコンペの設計範囲について話していなかったはずだ。
他の人から聞いたのだろうか?
この瞬間、東山裕の心は数えきれないほどの疑問で満ちていた。
……
東山裕が寝室に入ると、パジャマ姿の海野桜がベッドに寝そべって彼のポートフォリオを見ているところだった。