下書きには建物の大まかな輪郭が描かれていた。
その輪郭は独特で斬新な形をしており、まるで……建築学の観点から描かれたかのようだった。
適当に描かれたものではない……
東山裕は深い眼差しで見つめた。これは海野桜が自分で考え出したものなのか?
しかし、彼は確信していた。これは彼が描いたものではないし、本にもこのような建築物は見当たらない。
さらに驚いたことに、彼女が描いた建築物は、まさにこれから入札しようとしている建築物のタイプにぴったりだった。
彼は彼女にコンペの設計範囲について話していなかったはずだ。
他の人から聞いたのだろうか?
この瞬間、東山裕の心は数えきれないほどの疑問で満ちていた。
……
東山裕が寝室に入ると、パジャマ姿の海野桜がベッドに寝そべって彼のポートフォリオを見ているところだった。
彼女は両足を曲げて上げ、白くて可愛らしい足を空中でぶらぶらさせていた。
妙に気が散るような光景だった!
「母さんはもう帰ったから、ここで寝る必要はないよ」彼は冷ややかに注意した。
海野桜は横目で彼を見て、困ったように言った。「でも、お母さんは私たちを監視する人を雇ったわ。一緒に寝なかったら、また来るわよ」
「それはただの言い訳じゃないのか?」
海野桜はソファを指差して、「枕と布団は用意してあるわ。あなたはそこで寝るか、他の部屋で寝るかして」
東山裕は見やって、意地悪く口元を歪めた。「俺にソファで寝ろって言うのか?」
「そうよ」海野桜は確信を持って頷いた。「あなたは男だから、当然あなたが寝るべきよ」
東山裕はベッドの側に歩み寄り、両手を腰に当てて、可笑しそうに言った。「海野桜、2つの点を理解していないようだな。まず、ソファの長さは1.8メートルしかないが、俺の身長は188センチだ!次に、ここの主人は俺で、お前じゃない!」
海野桜は笑いながら反問した。「私はここの女主人じゃないの?一時的とはいえ、そうでしょう。悪いけど、ソファで寝たくないなら、他の部屋で寝てよ」
彼が他の部屋で寝る勇気があるかどうか、見てみたかった。
もし彼が他の部屋で寝たら、義母にバレて、困るのは彼の方だ。
どうあれ、彼女はソファで寝るつもりはなかった。
海野桜がポートフォリオを見続けていると、突然、横から強い影が彼女に襲いかかってきた!