第42章 書斎の明かりが点いている

海野桜は彼女が戻ってくるのを望んでいなかった。そうでなければ、東山裕と同じ部屋に住み続けなければならないからだ。

だから彼女は毎日東山裕に昼食を届けることに同意した。

どうせ近いうちに、彼らは離婚できるのだから。

「張本家政婦、私の荷物を全部運び出して、私は客室で寝るわ」と海野桜は命令するように言った。

張本家政婦は躊躇いながら言った。「お嬢様、お義母様はもう旦那様と別々の部屋で寝ていることをご存知です。皆に監視させて、もし別々の部屋で寝ているのを見たら報告するように言われています……」

「……」海野桜は突然頭が痛くなった。

前世なら、義母がこのように助けてくれることを喜んでいただろう。

でも今世は全く必要ないのに。

まあいいや、どうせ長くは我慢しなくていいのだから。

東山裕が準備さえできれば、彼らは離婚できる。この期間は演技を続けるしかない。

重要なのは、東山裕が自分に何もしないと信じていることだ。

同じ部屋で寝ても、お互いに気に入らないこと以外は何も起こらないはずだ。

もしかしたら、彼女が全裸で東山裕の前に立っても、彼は何も感じないかもしれない。

海野桜はそれほど自信があった。その自信は東山裕が与えてくれたものだ!

……

海野桜が今一番やりたいことは、設計図を描くことだった。

二階に上がって寝室に閉じこもり、彼女は絵を描き始めた。

子供の頃に美術を学んでいたので、基本的な絵画の基礎はある。

どんな形の建築を描くかは、すでに考えていた。

前世では東山裕の作品は全て非常に詳しく、長時間かけて鑑賞していた。

今回東山裕たちがニューヨークで入札する作品も、どんなものか覚えている。

だから東山裕、これはあなたが私を追い詰めたのよ。あなたの作品を盗用してあなたの顔に平手打ちをくらわせてやる!

海野桜は描きながら、悪だくみの笑い声を上げた。

ただし彼女は物事を単純に考えすぎていた。

東山裕の全作品を覚えているとはいえ、七、八割程度で、細部まで全て覚えているわけではない。

何枚か描いてみたが、いつも何かが違う、何かが足りない。

海野桜はいい加減な仕事をしたくなかった。そうでなければ500万の賞金は手に入らない。彼女は既に決めていた。500万を手に入れたら、勉強して技術を身につけるのだと。