第48章 スカートを洗って綺麗にした

塗り終わると、彼女は立ち上がって言った。「お手洗いを借りるわ」

そう言うと、彼女はトイレに行き、ドアを閉めた。

東山裕は思わず冷笑した。彼女は何のつもり?

まるで彼が嫌な人間であるかのような態度だった。

最近、海野桜の反応は、まるで彼のことを嫌っているようだった。

東山裕は深い眼差しで、なぜ彼女が突然このように変わってしまったのか、本当に理解できなかった。

本当に彼と林馨に何かあると思い込んで、諦めることにしたのだろうか?

そんなちょっとした疑いだけで諦めるなんて、彼女らしくない。

しかし、彼女が一体どうしたのか、本当に分からなかった。

東山裕が困惑していると、オフィスのドアがノックされた。

「どうぞ」彼は淡々と言った。

ドアが開き、林馨が息を切らしながら袋を持って外から入ってきた。

彼女の額には汗が浮かんでおり、明らかに急いで戻ってきたため、そんなに疲れているのだった。

東山裕を見て、彼女は息を切らしながら微笑んだ。「社長、奥様のドレスを買ってきました。サイズが合わないかもしれないので、三つのサイズを買ってきました。奥様はどちらに?」

東山裕は彼女を一瞥し、質問には答えずに言った。「そこに置いておけ。山田大川のところに行って、お金を受け取りなさい」

「いいえ、そんなにお金はかかっていませんから...」

「金額の多寡に関わらず、経営者として従業員に借りを作るわけにはいかない」

林馨の目の奥に一瞬の暗さが走った。彼女は彼にとって、ただの従業員なのか?

ドレスを置くと、彼女は頷いて言った。「分かりました。では、失礼します」

「ああ、ご苦労様」東山裕は軽く頷いた。

林馨は途端に明るく笑顔になった。「いいえ、これは私の仕事ですから!」

「よし、休憩に行きなさい」

「はい」彼からちょっとした気遣いを受けただけで、林馨はとても嬉しく感じた。

彼女が笑顔で出ようとした時、突然トイレからハンドドライヤーのブーンという音が聞こえてきた。

林馨はトイレのドアを一瞥して、部屋を出て行った。

しかし彼女が去ってからもずっと、ブーンという音は止まなかった。

東山裕はついに我慢できなくなり、立ち上がってドアをノックした。

ドライヤーの音が止み、海野桜が中から不思議そうに尋ねた。「何ですか?」

「何をしているんだ?」男は低い声で尋ねた。