彼らと話をし、将棋を指し、散歩をし、美味しい料理も作って……
彼女と浜田統介の付き添いのおかげで、相良守は数日間とても楽しく過ごせた。
唯一の心残りは、死ぬまでに孫に会えないかもしれないということだった。
でも幸い、浜田統介たちの付き添いが、彼に多くの慰めを与えてくれた。
……
もう10日が経っていた。
海野桜が出かけてから10日も帰ってこなかった。
東山裕の心は何となく落ち着かなかった。彼はそれを慣れていないせいだと考えた。
そう、海野桜は以前、彼のことをとても愛していて、何事も彼を中心に考えていた。
チャンスさえあれば、いつでもどこでも彼の前に現れ、振り払っても振り払っても離れなかった。
しかし今では、彼女の態度は冷淡になり、彼のことを全く眼中に入れなくなった。
東山裕はこのような落差に慣れず、心の中で不快感を覚えるのは当然だった。
しかし、こんな些細な不快感で海野桜のことを重要視するようなことは絶対にしないだろう。
彼女がこれほど冷淡で、離婚を望むのなら、そうすればいい。
どうせこの結婚は確かに間違いだった……
それに彼女が離婚を望むなら、彼が拒否するわけにはいかない。そこまで尊厳を失ってはいない。そもそも彼もずっとこの結婚を終わらせたいと思っていた。
東山裕は深く考えず、時間があるときに弁護士に離婚協議書を作成させた。
ニューヨークの入札が終わったら、海野桜と離婚するつもりだった。
なぜなら、その時には「東山」は全く新しい発展段階に入り、誰にも揺るがせない地位を確立しているはずだから。
彼のビジネス帝国は完全に築き上げられ、今世紀の伝説の一つとなるだろう。
東山裕の計画は誰も知らなかったが、海野桜はその時期に離婚するだろうということを何となく察していた。
海野桜も離婚前に、この機会を利用して学習資金を得ようと考えていた。
そのため、横浜市にいながらも学習を止めることなく、毎晩数時間を設けてデザインコンテストの準備をしていた。
彼女だけでなく、林馨も同じように努力していた。
林馨は孤児で、幼い頃から優秀であることだけが多くのチャンスを得られる道だと信じていた。
東山に入社してから、彼女は抑えきれないほど東山裕に心惹かれていた。
彼に近づき、彼を手に入れ、彼の傍に立ちたかった……