秘書は首を振って、「いいえ。みんな不思議がっていました。なぜ社長が特等賞を選ばなかったのかって。特等賞はまだ選ばれていないんじゃないかと噂している人もいます」
ということは……東山裕は本当に特等賞を彼女に与えたの?
でも彼女は分かっていた。彼女の作品が一番良かったからではなく、他の人の作品が全て彼の要求に達していなかったからだろう。
山田大川が言ったじゃない、全ての賞に必ずしも受賞者がいるわけではなく、東山裕の認めを得なければならないと。
彼が認めてこそ、受賞できるのだと。
とにかく、受賞できたからいいのだ。
海野桜は長居せずに立ち去った。
東山裕が目覚めた後、秘書は昼食を彼に渡した。
彼は何も言わず、食事を済ませるとすぐに会議を開き、デザインチームを結成した。
チームメンバーは、今回のデザインコンテストで彼が認めた人々で、林馨も含まれていた。