彼女は東山裕の笑顔を見つめながら、大切なものを失ったかのように心が重くなった。
ずっと、海野桜は社長に相応しくないと思っていた。
すぐに離婚するだろうと思っていた……
でも今は、事態が自分の思っていたようではないと感じている。
もう彼を手に入れる機会はないのだろうか?
そう考えると、林馨は息ができなくなるような感覚に襲われた。
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海野桜は「東山」を出た後、別の場所へ向かった。
職業適性診断を受けに行ったのだ!
自分の興味や趣味を見つけ出して、その方向に向かって頑張りたかった。
しかし結果は……
【浜田さん、現時点では、あなたには特に趣味がないようですね。唯一の趣味は……恋愛?】
診断士の言葉と、信じられないという表情を思い出し。
海野桜は地面に穴があったら入りたいくらいだった!
きっとこの世界で、彼女だけが変わり者で、唯一の趣味と追求が恋愛なんだろう!
もっと恐ろしいことに、今では誰の男性にも興味が持てなくなり、唯一の追求さえも失ってしまった!
とにかく海野桜の気持ちは落ち込んでいた。
そう、彼女はとても悲しかった。人生に迷いが生じたからだ。
前世では、彼女の人生の唯一の目標は東山裕を愛することだった。
今世では彼を愛していない、完全に生きる目標を失ってしまった。
何をすべきか、どんな夢を持つべきか、何のために頑張るべきか分からない。
食べて寝るだけの生活で、生ける屍と何が違うのだろう?
ニートよりも劣っている。ニートは寝て食って死ぬのを待つという人生の目標があるのだから。
そんな考えすら持てない!
……
海野桜が別荘に戻ると、人形のようにソファに足を組んで寄りかかっていた。
張本家政婦が何かあったのかと尋ねても、彼女は首を振るだけで何も言わなかった。
ずっとその状態で、張本家政婦を心配させた。
最後に東山裕が会社から帰ってきても、彼女は同じ状態だった。
海野桜の様子を見て、東山裕は少し困惑した。
張本家政婦が自ら説明しに来た:「旦那様、奥様があなたにお弁当を届けて帰ってきてから、ずっとこの状態です。もう何時間も経ちました。聞いても何も話してくれず、どうしたのか分かりません。」
東山裕はさらに困惑した。
彼は袖をまくり上げ、淡々と尋ねた:「医者は呼んだのか?」