第75章 離婚のために、行けばいい

少し間を置いて、医者はまた言った。「このような状態は、恐らく鬱病になっているのでしょう。このまま続けるのは良くありません。本当に鬱病になってしまうと深刻です。早めに予防しなければなりません。先日も鬱病の患者を診ましたが、毎日自殺のことばかり考えていて、最初は奥様と同じような状態で、一言も話さず、いつも元気がありませんでした。」

医者の言葉に張本家政婦は驚いた。

「どうすればいいんでしょうか？」

「大丈夫です。外出して気分転換をし、注意を他に向けることです。時間が経てば良くなります。」

「プッ」海野桜は突然笑い出した。

彼女が鬱病になるはずがない、ただ人生について考えているだけなのに。

この医者は大げさすぎる。

「ハハハハ……」海野桜は考えれば考えるほど可笑しくなり、お腹が痛くなるほど笑った。

しかし、彼女が笑い続けても、誰も反応せず、皆が彼女を本当に病気だと思うような目で見ていた。

海野桜は気まずそうに咳払いをして、「私は大丈夫です。余計な心配はしないでください！」

明らかに彼女の言葉を誰も信じていなかった。

張本家政婦は心配そうに言った。「お嬢様、本当に何かあるなら、医者に話してください。決して自分の中に溜め込んで病気になってはいけません。」

「だから大丈夫だって。」

「大丈夫なのに、昨日も今日も話さないし、様子もおかしいじゃないですか？」

「人生について考えているんです。」

「……」やはり彼女は本当に病気になってしまったようだ！

人生について考える？こんな風に考えるものだろうか？

医者が帰った後、東山裕は張本家政婦に指示した。「荷物の準備をしてください。明日からニューヨークに半月ほど行きます。」

張本家政婦は少し驚いて、「旦那様とお嬢様、お二人とも行かれるんですか？」

東山裕は頷いた。

張本家政婦は何も聞かずに、笑顔で「はい、すぐに準備いたします！」

「ちょっと！」海野桜は驚いて東山裕を見た。「あなたがニューヨークに行くのはいいけど、私も行く必要があるの？」

「今回の入札作品には、君のアイデアが半分入っているんだから、当然一緒に来なければならない。」

「でも私は何もわからないし、行っても意味ないでしょう？」

「入札の時、アイデアの由来を説明できるのは君だけだ。」