「義姉さん、なんという偶然でしょう」柴田治人は海野桜に笑顔で挨拶をし、まるで橋本友香の存在を無視するかのようだった。「ここで会えるとは思いませんでした」
海野桜は彼と林馨を見て、わざと意味深な笑みを浮かべた。「本当に偶然ですね。デートですか?」
柴田治人は不敵な笑みを浮かべ、否定もせずに「そう思ってもいいですよ」と答えた。
「そうなんですね、お二人はお付き合いされているんですね」
林馨は慌てて弁解した。「奥様、私と柴田社長はただの友人関係です」
海野桜は頷いた。「あぁ、そうですか。ただの友人なんですね」
同時に、ずっと緊張していた橋本友香は密かにほっとした。
柴田治人は軽く笑って、それ以上は何も言わなかった。「義姉さん、ゆっくり召し上がってください。お邪魔はしません」