海野桜は笑って尋ねた。「よく来るの?どうしてこれらの料理が一番人気があるって分かるの?」
橋本友香は何かを思い出したようで、微笑んで答えた。「うん、昔来たことがあるの」
あの頃のお兄さんは、彼女にとても優しくて、美味しいものがあれば必ず連れて行ってくれた。
でも、その後は……
橋本友香はそれ以上考えたくなくて、海野桜と別の話題に移った。
料理はすぐに揃い、二人は食べながら話をした。
海野桜が大学に行きたいという話をすると、橋本友香は提案した。「私の大学に来ない?もしかしたら同級生になれるかもよ」
「何を専攻してるの?」海野桜は尋ねた。
「映像を専攻してるの。将来は監督になりたいの」
「わぁ、すごい!」
橋本友香は恥ずかしそうに頷いた。「監督になるのは私の夢なの。でも、私が撮りたい映画は他の人とは違うの……」
「どう違うの?」
自分の趣味について話し始めると、橋本友香は滔々と語り出した。「温かい小さな映画を撮りたいの。悲しみも苦労もない、太陽の光と幸せだけがある映画……」
海野桜は夢中で聞いていた。
どうして橋本友香の夢は、こんなにも素晴らしく見えるのだろう。
どうして、自分にはこんな素晴らしい夢がないのだろう?
「桜ちゃん、映画は好き?私と一緒に学ばない?」
海野桜は気まずそうに笑った。「私には何をしたいのか分からないの。考えさせて……」
実は、彼女は何に対しても考えがなく、橋本友香の夢を追う気持ちが全く理解できなかった。
橋本友香は笑って言った。「好きな専攻を選んでね。そうすれば勉強する意欲も湧くから」
「うん……」何が好きなのかも分からないのに。
「もちろん、同級生になれたら最高だけど」橋本友香の言葉が終わるや否や、その明るい笑顔は消えてしまった。
彼女はある場所を呆然と見つめ、まるで魂が抜けたかのようだった。
海野桜は不思議に思って振り返り、彼女たちから遠くない場所に、柴田治人と林馨が座っているのを見た!
二人は楽しそうに会話を交わし、とても和やかな雰囲気だった。
海野桜の目が揺れた。「友香ちゃん、どうしたの?知り合い?」
橋本友香は我に返り、少し上の空で笑った。「あの人は……私のお兄さんよ」
「柴田治人があなたのお兄さんなの」海野桜はわざと驚いた様子を見せた。