第122章 喉が渇いた

東山裕は世界的に有名なデザイナーだ。

彼の指導を受けられるなんて、まさに天にも昇る思いだ。

普段は人に指導することなど滅多にないのに、今日は小学生に教えるかのように海野桜に接している。

それなのに彼女は不満げだ!

こんな貴重な機会を無駄にしているとは!

海野桜はそんなことも知らず、せっかちに彼を急かした。

「続けてください。残りは少ないんですから、早く終わらせて図面を描きに行きたいんです」彼女は急いで仕事を終わらせたがっていた。

東山裕は彼女の心中を察し、急に表情を曇らせた。

彼女はそんなにも早く離婚したがっているのか……

「今日はここまでだ。明日続きをやろう!」彼は突然陰鬱な声で言った。

海野桜は戸惑った。「どうしてですか?残りは少ないんですから、今日全部終わらせた方がいいじゃないですか?」