「お父さん、お母さん、こんにちは」海野桜は東山裕とまだ正式に離婚していなかったため、以前の呼び方を続けるしかなかった。
しかし、彼女の丁寧な態度からは、本当に離婚を考えていることが明らかだった。
鴻野美鈴はまったく気にせず、彼女の手を引いて色々と尋ね、とても親しげだった。
東山秀造は背が高く威厳があり、今は年を取っているものの、依然としてハンサムだった。
東山裕の容姿は彼に少し似ており、父子ともに特に高い鼻筋をしていた。
「最近会社でデザインの仕事をしているそうだね?」東山秀造が突然尋ねた。
海野桜は義父に対面するたびに、無意識に畏敬の念を抱いていた。「はい、でも一つのプロジェクトだけです」
「この前のニューヨークの入札作品も、君がデザインしたのかい?」
「全部ではありません」