第135章 歯ブラシまで送ってきた

海野桜が荷物の整理を手伝っているとき。

東山裕が彼女の持ち物を全て梱包して送ってきたことに気付いた。

一冊の本、一本の口紅、そして彼女の専用のマグカップまで、細かいところまで…

彼から受ける印象は、彼女に関する全てのものを彼の世界から完全に追い出したがっているということだった!

一本の髪の毛さえも残さない!

張本家政婦は片付けながらため息をつきながら言った:「お嬢様、旦那様はどうしてそんなに情け容赦ないのでしょう。ご覧なさい、歯ブラシまで送ってきましたよ。」

海野桜:「……」

「でもお嬢様、旦那様と離婚なさるのは良いことですわ!以前はお嬢様が旦那様をあんなに愛していらっしゃったのに、旦那様はずっと冷たくされていて、私はとても見ていられませんでした!お嬢様、この離婚は良かったんです。これからきっと、お嬢様を本当に大切にしてくれる旦那様が見つかりますよ!」張本家政婦は嬉しそうに言った。

海野桜が張本家政婦に育てられた子でなければ、張本家政婦はこんな風に話すことはできなかっただろう。

海野桜は彼女がいつも自分のことを本気で思ってくれていることを知っていたので、聞いても怒らなかった。

「張本さん、以前の私はとても馬鹿だったと思いますか?」海野桜は笑いながら尋ねた。

張本家政婦は頷いた:「本当に馬鹿でしたわ。私のお嬢様は世界で一番馬鹿な女の子です。愛に対して馬鹿で、責めることもできないほど馬鹿でした。」

「実は愚かだったんです。救いようのないほど愚かだった。」海野桜は自嘲的に笑ったが、その笑顔には少し諦めの色が混じっていた。

しかし、彼女の心にはまだ幾分かの苦さが残っていた。

実は前世で、もっと早く手放すべきだった、そんなに執着すべきではなかった。

なぜ完全に絶望するまで、もう取り返しのつかないところまで行ってから目覚めなければならなかったのか?

でも幸い、人生をもう一度やり直すことができる。やり直せなかったら、前世は本当に無駄に生きただけだったことになる。

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海野桜の頭の怪我はまだ完治していなかったが、もう大きな問題はなかった。

彼女は早くデザイン案を描き上げて、離婚前に東山裕に渡したいと思っていた。

海野桜は昼食を済ませると、施設に実地調査に車で向かった。

橋本友香も一緒に行き、カメラも持参した。