第178章 彼の唇に触れる

真っ暗な部屋の中で、彼女はベッドの上で丸くなり、目を開いたまま眠れずにいた。

頭の中では、東山裕の言葉が消えることなく残っていた。

海野桜は少しイライラして、東山裕がどうしてこんな風に変わってしまったのか分からなかった。

一度愛したら永遠だなんて、自分が彼女だと思っているのか?

とにかく彼がどう考えているにせよ、もう彼を愛したくはなかった。

だから、一度の甘い言葉に心を動かされることはないはずだった。

でも、寝つくまでにずいぶん長い時間がかかってしまった……

……

空が徐々に明るくなってきた。

早朝、海野桜は目を覚ました。

昨夜は遅くまで起きていたのに、あまり眠気を感じず、早くに目が覚めてしまった。

今日は土曜日で授業はないが、学校の図書館で勉強するつもりだった。

海野桜は素早く身支度を整え、朝食も取らずにバッグを背負って出かけた。