第190章 爆弾を抱えて

銀行から飛び出してきた女が、突然彼女の目の前で倒れた。

血が一瞬で広がっていった……

海野桜は驚愕して目を見開いた。彼女は硬直しながら顔を上げ、黒々とした銃口と向き合った。

携帯電話がパタリと地面に落ちた!

覆面強盗は銃を彼女に向けながら、邪悪な笑みを浮かべた。「お嬢ちゃん、中に入るか、それとも外に出るか、どっちにする?」

強盗の背後では、一団の強盗たちが銃を持って強奪を行っていた。

銀行内は混乱を極めていたが、海野桜にはその泣き声も、罵声も、悲鳴も聞こえていないようだった……

彼女の全身の血液が凍りついたかのように、目は恐怖に満ちて目の前の銃口を見つめていた。

彼女が答えないのを見て、強盗が引き金を引こうとした瞬間。

海野桜はゆっくりと両手を上げた。「私、入ります……」

入らなければ、目の前の女性と同じ運命を辿ることになる!

海野桜が銀行に入るや否や、強盗に乱暴に引っ張られ、激しく投げ飛ばされた!

海野桜は地面に強く倒れたが、痛みで声を上げることすらできなかった。

6人の強盗たちはすぐに銀行内の全員を制圧した。

銀行員たちも、彼らの脅しの下で、次々と袋にお金を詰めていった。

海野桜は他の人質たちと共に地面にしゃがみ込み、身動きひとつできなかった。

しかし、海野桜の顔色が一番青ざめていた。

なぜなら、これが前世で起きた大規模な銀行強盗事件だと思い出したからだ。

当時、この事件は全国を震撼させた。人質が一人も助からず、全員が死亡したからだ……

そう、全員が死んだのだ。

これらの強盗たちは非道にも、大金を奪っただけでなく、逃走時にここにいた全員を殺害したのだ。

海野桜の心情は今、最悪だった。

どうして自分がこの強盗事件に巻き込まれてしまったのか?

せっかく生まれ変わったのに、こんなに早く死ぬことになるのか?

そう考えると、さらに気分は落ち込んでいった。

特殊部隊は素早く到着し、銀行はすぐに包囲された。無数の特殊部隊員が銃を構え、緊迫した場面が広がっていた。

しかし、強盗たちは少しも恐れる様子を見せなかった。

お金を梱包し終えると、彼らは事前に用意していたロープで、全ての人質を縛り上げた。

そして強盗の首領が、辺りを見回した後、視線を海野桜に向けた。

正確には、彼女が背負っているリュックに!