第226章 大人物は受け取りません

東山裕が海野桜のことをどう思っているのか、海野桜には分からない。

今日は図書館に行かず、家で勉強していた。

海野桜は今、とても勤勉に勉強している。勉強に費やす時間は他の学生の2、3倍にもなる。

あの言葉はどう言ったっけ、結婚後に流す涙は、夫を選んだ時に頭に入った水だと。

海野桜は、この言葉が自分にぴったりだと思った。

今、勉強のために流す汗さえも、夫を選んだ時に頭に入った水なのだと……

海野桜は今、たとえ過程が辛くても、頭の中の水を全部出し切りたいと思っている。

そうしないと、頭の中に他のものを入れる余地がないのだから。

……

気づかないうちに、海野桜は夜まで勉強していた。

夕暮れ時、浜田家の屋敷にも温かい灯りが灯った。

東山裕の車が門の外に停まり、車窓越しに彼女の寝室の明かりが見えた。