第224章 送りたいから送る

彼はまだ彼女にたくさんのものを贈りたかった。それは自然な思いであり、意図的なものではなかった。

しかし、彼女がバラの花を好まないのなら仕方がない。他のものを贈ることにしよう。

彼女が気に入らないものなんて、一つもないはずだ。

そして翌日、海野桜は最高級の新作ジュエリーの数々を受け取った。

さらに限定版のマセラティの赤いスポーツカーまで届いた。

これらを全部合わせると、少なくとも数億円の価値があった。

張本家政婦は大喜びで、「お嬢様、東山坊様は本当にあなたのことを大切にしていらっしゃいますわ。こんなに高価な贈り物をたくさんくださって。きっと離婚した後で、あなたの良さに気付かれたのですわ!お嬢様、これまでの努力が報われましたね」

浜田統介も笑顔で彼女に言った。「桜や、裕は本当にお前との関係を修復したいと思っているようだ。彼がこれほど誠意を見せているんだから、もう一度チャンスをあげてみたらどうだ」

海野桜は作り笑いを浮かべ、寝室に戻るなり東山裕に電話をかけた。

「東山裕、昨日私、もう何も贈らないでって言ったでしょう?!」

東山裕は当然のような口調で答えた。「バラの花だけを贈るなと言われたと思っていた。他のものはダメだとは言われてないよ」

「じゃあ、よく聞いて。何も贈らないで。私は何もいらないの……」

東山裕は彼女の言葉を遮った。「海野桜、昨日、自然な関係を築きたいって言ったよね?」

海野桜は彼の考えについていけなくなっていた。「……そうよ」

「ちょうどいい。僕も自然な関係を築きたいと思っている」

「だったら、こういうものを贈るのはやめて……」

「でも、これが僕にとって最も自然な発展の仕方なんだ。君には不自然に見えるかもしれないけど、僕には自然なことで、君に何かを贈りたいという強い欲望を抑えることができないんだ!」

「……」海野桜は唖然とした。

東山裕は低い声で締めくくった。「海野桜、君がチャンスをくれたなら、僕は必ずそのチャンスをしっかりと掴む。君が不自然だと感じるからといって、わざと贈らないようなことはしない。だから贈りたいと思ったら贈る。君に贈りたくないふりをさせないでほしい。僕も自分の気持ちに逆らいたくない。でも、僕の贈り物を受け取ってくれてありがとう。そして僕の気持ちを理解して、このまま自然に関係を発展させていってほしい」