実は彼女は彼が本気だと分かっていた。
でも、まだ疑いと不安を感じていた。
前世で自分が投獄された後、彼が林馨と結婚するために自分の死を待っていたのかどうか、知りたかったから。
あるいは、彼女を助けないのも意図的だったのかもしれない。
結局、その時は浜田碧もいなかったし、彼女の存在だけが他の女性と結婚する邪魔になっていたのだから……
海野桜は分かっていた。それは前世の出来事で、今世とは何の関係もない。
今は全てが変わったのだから、そんなに真剣に考えすぎたり、こだわりすぎたりする必要はない。
でも、どうしても考えてしまう。気になってしまう。
心が落ち着かなければ、この一歩を踏み出すことはできない。
「東山裕、あなたが本気だと言ってくれれば、私は信じます」海野桜は真剣に言った。