彼女は電話を切り、目を閉じると、すぐに眠りについた。
しかし東山裕は、眠れなかった!
やっと海野桜を手に入れたのに、何もできず、しかも別居まで我慢しなければならない!
神様は本当に残酷だと思った。
でも彼にはどうすることもできなかった。海野桜は絶対に譲らなかったから。
彼は疑っていた。彼女は昔の、彼を見ると動けなくなるような海野桜ではなくなったのではないかと。
きっと中身が入れ替わってしまったんだ。もう昔の海野桜じゃないんだ!
東山裕は退屈にあれこれと考えを巡らせていた……
……
夢のない一夜が過ぎた。
翌日早朝、海野桜は早起きして病院へ橋本友香を見舞いに行った。
幸い、今日の橋本友香は顔色もよく、気分も良さそうだった。
橋本友香は自分の計画まで話してくれた。もう柴田家には戻りたくない、外で部屋を借りて、これからは自分の力で生きていきたい、もう家族とは一切関わりたくないと。