着信画面に彼の名前を見て、海野桜は少し躊躇したが、結局電話に出た。
「もしもし……」
彼女が声を出した途端、向こう側の東山裕の怒りに遮られた。
「海野桜、よくも俺の番号を他の女に教えたな?!」
海野桜は少し驚いた。浜田碧の行動が早かったのか?
「なぜ他の女に教えたんだ?」東山裕は不機嫌に問い詰めた。
海野桜はそれほど深刻な問題だとは思わなかった。「浜田碧は他人じゃないわ。」
彼女は従姉妹で、さらに……東山裕の幼い頃の婚約者でもあった。
東山裕は冷笑した。「俺にとっては、ただの他人だ。海野桜、俺の番号を他の女に教えたんだから、もうお前も掛けてくるな。」
言い終わると、東山裕は一方的に電話を切った!
海野桜は呆然とした。
電話のツーツーという音を聞きながら、彼女は妙にイライラした。